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トムソン・ロイター (TRI)

Thomson Reuters Corporation Common Shares

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/10/26

0. この記事でわかること

本記事では、トムソン・ロイター(TRI)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: AI主導型イノベーション(年間2億ドル超の投資)、「Big 3」セグメント強化(オーガニック成長率9%)、戦略的買収(SafeSendを約6億ドルで買収)といった成長戦略と、投資家が抱える株価低迷への懸念
  • 事業内容と成長戦略: Legal Professionals、Corporates、Tax & Accounting Professionalsという主力事業によるサブスクリプション収益モデルと、景気後退期にも強いディフェンシブ性
  • 競合との差別化: BloombergやLexisNexis、Wolters Kluwerとの競争環境において、法律・税務・会計の統合プラットフォームとAI投資により差別化を実現
  • 財務・配当の実績: 配当利回り1.5-2%で32年連続増配を継続し、オーガニック成長率7-9%を維持
  • リスク要因: 株価低迷(過去1年で9.67%下落)、カナダドル為替リスク、配当の二重課税(カナダ0-15% + 日本20.315%)といった懸念材料

1. なぜトムソン・ロイター(TRI)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

トムソン・ロイターは、以下の3つの戦略優先事項を掲げています:

AI主導型イノベーション:年間2億ドル超のAI投資を継続し、CoCounsel Tax、Audit & Accountingなどのエージェント型AIアシスタントを展開しています。高成長製品(10%以上成長)が全売上の25%を占めており、2019年の12%から大幅に増加しました。法律・税務・会計の専門家向けにAIを活用した業務効率化ツールを提供することで、顧客の生産性向上に貢献しています。

「Big 3」セグメント強化:Legal Professionals、Corporates、Tax & Accounting Professionalsの3つの主力セグメントが売上の84%を占め、オーガニック成長率9%を達成しました。これらのセグメントは、弁護士、企業の法務・税務担当者、会計事務所といった専門家向けに高額サブスクリプションを提供しており、景気変動に左右されにくい安定収益源となっています。

戦略的買収:2027年までに約100億ドルの買収予算を確保しており、積極的なM&A戦略を展開しています。2025年1月にSafeSendを約6億ドルで買収し税務自動化を拡大したほか、Safe Sign Technologies(英国)、Materia(米国)などAI系スタートアップも積極的に取得しています。これにより、自社の製品ポートフォリオを強化し、競合優位性を高めています。

(2) 注目テーマ(AI・自動化・税務会計テクノロジー・法務ソリューション)

AI・自動化(CoCounsel、エージェント型AI):AIエージェント「CoCounsel」は、弁護士や会計士の業務を支援するツールとして注目されています。法律文書のレビュー、契約書の解析、税務申告書の作成といった専門性の高い業務を自動化・効率化することで、顧客の生産性を大幅に向上させています。

税務・会計テクノロジー:SafeSend買収により税務自動化を拡大し、会計事務所向けのクラウドベースツールを強化しています。税務申告書の自動作成、顧客とのコミュニケーション機能、セキュアなドキュメント共有などの機能を統合することで、会計事務所の業務効率を向上させています。

法務プロフェッショナルソリューション:Westlawをはじめとする法律情報データベースは、弁護士にとって必須のツールです。判例検索、法令解析、訴訟戦略の立案など、法律専門家の業務をサポートする包括的なプラットフォームを提供しています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心:35-60代の日本人投資家は、安定配当とディフェンシブ性を重視しています。トムソン・ロイターは、配当利回り1.5-2%で32年連続増配を継続しており、長期保有に適した銘柄として評価されています。また、法律・税務・金融情報という参入障壁の高いビジネスモデルに魅力を感じており、サブスクリプション収益の安定性が高く評価されています。

投資家の懸念点:一方で、株価の低迷に対する不安が大きいのも事実です。過去1年で9.67%下落し、52週安値149.76ドルを記録しました。S&P500が16%上昇する中でトムソン・ロイターは約2.5%下落しており、市場平均を大きく下回っています。また、Q2決算ではオーガニック成長9%・調整後EBITDA 5%増にもかかわらず、EPSが前年比減少し投資家を失望させました。一部の機関投資家(Jarislowsky Fraser)が約12.4万株・2280万ドルを売却するなど、利益確定売りの動きも見られます。

アナリスト評価と将来見通し:アナリストは目標株価を160-240ドルとしており、現在の株価からは上昇余地があります。Wells FargoはOverweightに格上げしており、AI投資と「Big 3」セグメントの成長を評価しています。みんかぶでは目標株価189.11ドルで【買い】評価、AI株価診断では【割安】と判定されています。2025年通期見通しはオーガニック成長率7-7.5%、2026年には7.5-8%を予測しており、堅調な成長が見込まれています。

2. トムソン・ロイターの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(Legal Professionals・Corporates・Tax & Accounting)

トムソン・ロイターの主力事業は以下の3つです(「Big 3」セグメント):

Legal Professionals(法律情報):売上の約40%を占める最大セグメントです。Westlawという法律情報データベースを中心に、判例検索、法令解析、訴訟戦略の立案など、弁護士にとって必須のツールを提供しています。CoCounsel(AIエージェント)により法律文書のレビューや契約書の解析を自動化し、弁護士の業務効率を大幅に向上させています。

Corporates(企業向け税務・会計・規制対応):売上の約30%を占めるセグメントです。企業の法務部門、税務部門、コンプライアンス部門向けに、規制対応、契約管理、税務申告などのソリューションを提供しています。特に多国籍企業にとって、各国の法律や税制に対応するためのツールとして重宝されています。

Tax & Accounting Professionals(会計事務所向け):売上の約20%を占めるセグメントです。会計事務所向けに、税務申告書の作成、監査ツール、顧客管理などのクラウドベースソリューションを提供しています。SafeSend買収により税務自動化を拡大し、会計事務所の業務効率化に貢献しています。

これらに加えて、**Reuters News(通信社)**が売上の約10%を占めています。世界的な通信社として、金融ニュース、政治・経済ニュース、スポーツニュースなどを配信しています。

(2) セクター・業種の説明(資本財・専門サービス)

トムソン・ロイターは、資本財セクターの専門サービス業種に分類されます。法律・税務・会計・金融情報といった専門性の高いサービスを提供しており、弁護士、会計士、企業の法務・税務担当者といった専門家向けに高額サブスクリプションを販売しています。

専門サービス業種の特徴は、参入障壁が高く、顧客の乗り換えコストが高いことです。一度導入されると長期にわたって利用される傾向があり、安定したサブスクリプション収益を生み出します。

(3) ビジネスモデルの特徴(サブスクリプション収益・ディフェンシブ性)

トムソン・ロイターの最大の特徴は、サブスクリプション収益が85%超を占めることです。弁護士や会計士にとって、法律情報データベースや税務ツールは業務に必須であり、景気が悪化しても契約を解除することは難しいです。このため、景気変動の影響を受けにくい「ディフェンシブ株」として評価されています。

ビジネスモデルのメリット:

安定収益:サブスクリプション収益は予測可能であり、四半期ごとの売上が安定しています。

高い顧客定着率:専門家向けツールは一度導入されると長期にわたって利用されるため、顧客離脱率が低いです。

AI投資による製品力強化:年間2億ドル超のAI投資により、CoCounselやSafeSendといった新製品を開発し、顧客の生産性を向上させています。

戦略的買収によるポートフォリオ拡大:2027年までに約100億ドルの買収予算を確保しており、AI系スタートアップを積極的に取得して製品ポートフォリオを強化しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(Bloomberg・LexisNexis・Wolters Kluwer)

トムソン・ロイターの主要競合企業は以下の通りです:

Bloomberg(金融情報):Bloombergターミナルは金融機関向けの情報端末として世界的に普及しており、トムソン・ロイターのかつての金融情報事業(Refinitiv)と競合していました。2021年にRefinitivをBlackstoneに売却したことで、現在は直接的な競合ではなくなりましたが、金融ニュース配信では引き続き競争しています。

LexisNexis(法律情報、RELX傘下):法律情報データベースとしてWestlawと直接競合しています。判例検索、法令解析、訴訟戦略の立案など、弁護士向けツールで市場を二分しています。

Wolters Kluwer(税務会計):税務・会計ソフトウェア市場でトムソン・ロイターと競合しています。会計事務所向けのクラウドベースツールや税務申告ソフトで市場シェアを争っています。

(2) 競合優位性(法律・税務・会計の統合プラットフォーム・AI投資)

トムソン・ロイターの競合優位性は、法律・税務・会計の統合プラットフォームAI投資にあります:

統合プラットフォーム:Legal Professionals、Corporates、Tax & Accountingの3つのセグメントを統合することで、企業の法務部門、税務部門、コンプライアンス部門に包括的なソリューションを提供できます。例えば、企業が多国籍展開する際には、各国の法律や税制に対応するためのツールが必要であり、トムソン・ロイターはこれらを一括で提供できる点が強みです。

AI投資:年間2億ドル超のAI投資により、CoCounsel Tax、Audit & Accountingなどのエージェント型AIアシスタントを開発しています。法律文書のレビュー、契約書の解析、税務申告書の作成といった専門性の高い業務を自動化・効率化することで、顧客の生産性を大幅に向上させています。高成長製品(10%以上成長)が全売上の25%を占めており、AI投資が成長を牽引しています。

サブスクリプション収益の安定性:サブスクリプション収益が85%超を占めており、景気変動の影響を受けにくいです。専門家向けツールは業務に必須であり、契約を解除することは難しいため、顧客定着率が高いです。

(3) 市場でのポジショニング(情報ベンダー大手)

トムソン・ロイターは、法律・税務・会計情報ベンダーとして世界トップクラスのシェアを持っています。特にWestlawは弁護士にとって業界標準のツールであり、米国の法律事務所の多くが導入しています。

一方で、Bloombergのように金融情報市場で圧倒的なシェアを持つ競合もあり、かつては10ポイント差あったシェア差が数ポイント差まで詰められた時期もありました。2021年にRefinitiv(金融情報事業)を売却したことで、法律・税務・会計に事業を集中し、差別化を図っています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(オーガニック成長7-9%継続)

トムソン・ロイターは、オーガニック成長率7-9%を継続しています。2024年通期の売上は前年比7%増、Q4は前年比5%増を記録しました。以下は過去5年の売上推移(概算)です:

年度 売上高(億ドル) 前年比成長率
2020 約59 -
2021 約61 約3%
2022 約65 約7%
2023 約68 約5%
2024 約73 約7%

(出典: Thomson Reuters Investor Relations、アナリストレポート)

「Big 3」セグメントの成長:Legal Professionals、Corporates、Tax & Accounting Professionalsの3つの主力セグメントがオーガニック成長率9%を達成し、全体の成長を牽引しています。

調整後EBITDA:2025年通期見通しでは調整後EBITDAマージン約39%を見込んでおり、2026年には50bps以上の拡大を予測しています。これは、AI投資とSafeSend買収により製品力が強化され、収益性が改善していることを示しています。

EPS:Q4のEPSは1.30ドルで、前年の1.49ドルから減少しました。これは一時的な要因(買収関連費用など)によるものと説明されていますが、投資家を失望させる結果となりました。

(2) 配当履歴(配当利回り1.5-2%・32年連続増配)

トムソン・ロイターは32年連続増配を継続しており、配当利回りは約1.5-2%です(2025年10月時点)。配当性向は30-40%と控えめであり、増配余地があると言われています。

配当の推移(概算):

年度 年間配当(ドル) 前年比増配率
2020 約1.60 -
2021 約1.75 約9%
2022 約1.93 約10%
2023 約2.12 約10%
2024 約2.33 約10%

(出典: Thomson Reuters Investor Relations)

年10%の増配を継続しており、配当収入を重視する投資家にとって魅力的な銘柄となっています。

(3) 財務健全性(調整後EBITDAマージン39%)

調整後EBITDAマージン:2025年通期見通しでは約39%を見込んでおり、高い収益性を維持しています。調整後EBITDAは「税引前利益 + 利息 + 減価償却費 + 特別項目調整」で計算され、企業の本業の稼ぐ力を示します。

サブスクリプション収益の安定性:サブスクリプション収益が85%超を占めており、景気変動の影響を受けにくいです。専門家向けツールは業務に必須であり、契約を解除することは難しいため、安定したキャッシュフローを生み出しています。

買収予算:2027年までに約100億ドルの買収予算を確保しており、積極的なM&A戦略を展開しています。SafeSendを約6億ドルで買収したほか、AI系スタートアップを積極的に取得しています。

※2025年10月時点のデータです。最新情報はThomson Reuters Corporation公式IRページをご確認ください。(出典: Thomson Reuters Investor Relations, Q4 & Full-Year 2024 Results, SEC EDGAR)

5. リスク要因

(1) 事業リスク(株価低迷・短期的なEPS減少)

株価の低迷:過去1年で9.67%下落し、52週安値149.76ドルを記録しました。S&P500が16%上昇する中でトムソン・ロイターは約2.5%下落しており、市場平均を大きく下回っています。堅調な業績にもかかわらず株価が低迷している理由は、短期的なEPS減少と機関投資家の利益確定売りが影響していると考えられます。

短期的なEPS減少:Q2決算ではオーガニック成長9%・調整後EBITDA 5%増にもかかわらず、EPSが前年比減少し投資家を失望させました。これは買収関連費用などの一時的な要因によるものですが、市場は短期的な業績に敏感に反応します。

(2) 市場環境リスク(カナダドル為替・金利上昇)

カナダドル為替リスク:トムソン・ロイターはカナダ企業であり、カナダドルと米ドルの為替変動が業績に影響する可能性があります。また、日本人投資家にとっては、円高進行時に円換算の投資価値が減少するリスクがあります。

配当の二重課税:カナダ企業の配当には、カナダでの源泉徴収(0-15%、日加租税条約により軽減)と日本での税金(20.315%)がかかります。外国税額控除を利用することで二重課税を一部回避できますが、手続きが必要です。

金利上昇:金利上昇は配当株にとってマイナス要因です。金利が上がると、債券の利回りが上がり、配当株の魅力が相対的に低下する傾向があります。

(3) 規制・競争リスク(Bloomberg競争・機関投資家の利益確定売り)

Bloomberg競争:かつては金融情報市場でBloombergと激しく競争していましたが、2021年にRefinitivを売却したことで、現在は法律・税務・会計に事業を集中しています。ただし、金融ニュース配信では引き続き競争しており、Bloombergの圧倒的なブランド力に対抗する必要があります。

LexisNexisやWolters Kluwerとの競争:法律情報市場ではLexisNexisと、税務・会計市場ではWolters Kluwerと激しく競争しています。これらの競合もAI機能を強化しており、トムソン・ロイターは継続的な製品改善が求められます。

機関投資家の利益確定売り:Jarislowsky Fraserが約12.4万株・2280万ドルを売却するなど、一部の機関投資家が利益確定売りを行っています。これにより短期的な株価下落圧力がかかる可能性があります。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み

サブスクリプション収益の安定性:サブスクリプション収益が85%超を占めており、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ株です。

32年連続増配:配当利回り1.5-2%で年10%の増配を継続しており、配当収入を重視する投資家に適しています。

AI投資と「Big 3」セグメントの成長:年間2億ドル超のAI投資により、CoCounselやSafeSendといった新製品を開発し、顧客の生産性を向上させています。高成長製品が全売上の25%を占めており、AI投資が成長を牽引しています。

(2) リスク要因(再掲)

株価の低迷:過去1年で9.67%下落し、S&P500が16%上昇する中で市場平均を大きく下回っています。

カナダドル為替リスクと配当の二重課税:カナダ企業のため、カナダドルと米ドルの為替変動が業績に影響します。また、配当の二重課税(カナダ0-15% + 日本20.315%)にも注意が必要です。

(3) 向いている投資家

安定配当とディフェンシブ性を重視する中級投資家:トムソン・ロイターは、景気変動の影響を受けにくい安定配当銘柄を探している投資家に向いています。

長期保有を前提とした投資家:32年連続増配を継続しており、長期保有によって配当収入を積み上げたい投資家に適しています。

AI・自動化による成長を期待する投資家:年間2億ドル超のAI投資により、法律・税務・会計の専門家向けツールを進化させています。AI・自動化による生産性向上に注目する投資家に魅力的です。

免責事項:本記事は情報提供のみを目的としており、個別銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや税率、為替レートは変動するため、国税庁・金融庁・証券会社の公式情報をご確認ください。米ドル建て投資には為替リスクがあり、円高進行時は円換算の投資価値が減少します。

Q: トムソン・ロイターの配当利回りは?

A: 約1.5-2%です(2025年10月時点)。32年連続増配で年10%増配を継続しています。配当性向は30-40%と控えめであり、増配余地があると言われています。配当の二重課税(カナダ0-15% + 日本20.315%)に注意が必要ですが、外国税額控除を利用することで一部回避できます。

Q: トムソン・ロイターの主な競合は?

A: Bloomberg(金融情報)、LexisNexis(法律情報、RELX傘下)、Wolters Kluwer(税務会計)などです。ただし法律・税務・会計の統合プラットフォームで差別化しています。2021年にRefinitiv(金融情報事業)を売却したことで、現在は法律・税務・会計に事業を集中しており、これらの分野で競合優位性を維持しています。

Q: トムソン・ロイターのリスク要因は?

A: 株価低迷(S&P500が16%上昇する中で2.5%下落)、カナダドル為替リスク、配当の二重課税(カナダ0-15% + 日本20.315%)などがあります。詳細は本文の「5. リスク要因」を参照してください。過去1年で9.67%下落し、52週安値149.76ドルを記録しました。短期的なEPS減少と機関投資家の利益確定売りが株価下落の要因と考えられます。

Q: トムソン・ロイターは長期投資に向いている?

A: 安定配当とディフェンシブ性を重視する中級投資家に向いています。サブスクリプション収益85%超で景気変動の影響を受けにくいです。投資判断はご自身で行ってください。32年連続増配を継続しており、長期保有によって配当収入を積み上げたい投資家に適しています。アナリスト目標株価は160-240ドルで、現在の株価からは上昇余地があります。

よくある質問

Q1トムソン・ロイターの配当利回りは?

A1約1.5-2%です(2025年10月時点)。32年連続増配で年10%増配を継続しています。配当性向は30-40%と控えめであり、増配余地があると言われています。配当の二重課税(カナダ0-15% + 日本20.315%)に注意が必要ですが、外国税額控除を利用することで一部回避できます。

Q2トムソン・ロイターの主な競合は?

A2Bloomberg(金融情報)、LexisNexis(法律情報、RELX傘下)、Wolters Kluwer(税務会計)などです。ただし法律・税務・会計の統合プラットフォームで差別化しています。2021年にRefinitiv(金融情報事業)を売却したことで、現在は法律・税務・会計に事業を集中しており、これらの分野で競合優位性を維持しています。

Q3トムソン・ロイターのリスク要因は?

A3株価低迷(S&P500が16%上昇する中で2.5%下落)、カナダドル為替リスク、配当の二重課税(カナダ0-15% + 日本20.315%)などがあります。詳細は本文の「5. リスク要因」を参照してください。過去1年で9.67%下落し、52週安値149.76ドルを記録しました。短期的なEPS減少と機関投資家の利益確定売りが株価下落の要因と考えられます。

Q4トムソン・ロイターは長期投資に向いている?

A4安定配当とディフェンシブ性を重視する中級投資家に向いています。サブスクリプション収益85%超で景気変動の影響を受けにくいです。投資判断はご自身で行ってください。32年連続増配を継続しており、長期保有によって配当収入を積み上げたい投資家に適しています。アナリスト目標株価は160-240ドルで、現在の株価からは上昇余地があります。

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Single Stock編集部

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