0. この記事でわかること
本記事では、グローバルファウンドリーズ(GFS)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: 米国内への160億ドル大規模投資(ニューヨーク州・バーモント州工場の製造・先進パッケージング能力拡大)により、CHIPS法の支援を受けて国内生産を強化。成熟・特殊プロセス特化戦略(12nm以上に注力、7nm開発を中止)により収益性を重視し、MIPS買収(2025年、AI・プロセッサIPプロバイダー取得)で設計勝利数を倍増させています。
- 事業内容と成長戦略: TSMCに次ぐ世界第2位の半導体ファウンドリーだが、先端プロセス(7nm以下)から撤退し、成熟プロセス(12nm~65nm)に特化する独自戦略。自動車・IoT・通信インフラ向けに強みを持ち、シリコンフォトニクス・FD-SOI技術に注力しています。
- 競合との差別化: TSMC(世界1位)、Samsung(3位)、UMC(4位)などが競合。GFSは先端競争を避け、成熟プロセスに特化することで差別化。設計勝利の90%が単独ソース(競合なし受注)で、顧客との長期契約が強みです。
- 財務・配当の実績: 2025年Q2は売上16.9億ドル(前年同期比3%増)、EPS 0.42ドル(予想0.36ドルを16.67%上回る)。自動車向け売上は前年同期比36%増で全売上の1/4を占めます。配当はゼロで、成長投資を優先しています。
- リスク要因: 最先端技術への投資遅れ(AI・高性能コンピューティング需要に乗り遅れる可能性)、設備投資の消極性(2024年7億ドルは競合の1/10程度)、好決算にも関わらず株価は年初来30%下落、大株主ムバダラの株式売却リスクなどが懸念材料です。
1. なぜグローバルファウンドリーズ(GFS)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
グローバルファウンドリーズは、以下の3つの成長戦略で投資家の注目を集めています。
①米国内への160億ドル大規模投資
ニューヨーク州とバーモント州の工場で製造・先進パッケージング能力を拡大しています。CHIPS法(米国半導体産業支援法)により15億ドルの補助金を受け、国内生産を強化しています。22FDX(FD-SOI技術の次世代プロセス)、シリコンフォトニクス、GaN(窒化ガリウム)電力ソリューションに注力し、AI・データセンター・通信インフラ向けの需要を取り込んでいます。
②成熟・特殊プロセス特化戦略
2018年に先端プロセス(7nm以下)の開発を中止し、12nm以上の成熟・特殊プロセスに特化する戦略転換を実施しました。先端競争を避けることで、巨額の研究開発費を抑制し、収益性を重視しています。自動車(電動化・ADAS)、IoT、通信インフラ(5G基地局)向けに強みを持ち、「エッセンシャルチップ」(日常生活に不可欠な半導体)市場を開拓しています。
③MIPS買収によるAI・プロセッサIP強化
2025年にMIPS(AI・プロセッサIPプロバイダー)を買収し、設計勝利数を倍増させました。顧客の新製品に自社の半導体が採用される「設計勝利(Design Win)」を増やすことで、長期的な収益基盤を強化しています。Q2 2025では設計勝利数200件(前年同期の2倍)を記録しました。
(2) 注目テーマ(シリコンフォトニクス・FD-SOI・自動車半導体)
投資家が注目するテーマは以下の3つです:
- シリコンフォトニクス: 光信号をシリコンチップで処理する技術で、データセンターの高速通信に応用されます。2025年売上2億ドルを見込んでおり、AI革命における重要技術として期待されています。
- FD-SOI(完全空乏型SOI)技術: 低消費電力・高性能を実現する半導体製造技術で、IoT・モバイル向けに強み。競合が追随しにくい差別化技術として、GFSの独自ポジションを確立しています。
- 自動車・IoT向け特殊半導体: 自動車向け売上は前年同期比36%増で全売上の1/4を占めます。電動化・ADAS(先進運転支援システム)の需要拡大により、長期的な成長が見込まれます。
(3) 投資家の関心・懸念点
グローバルファウンドリーズに対する投資家の関心と懸念は以下の通りです。
関心点:
- 2025年Q2は売上16.9億ドル(前年同期比3%増、前四半期比6%増)、EPS 0.42ドル(予想0.36ドルを16.67%上回る)と好調
- 自動車向け売上は前年同期比36%増で全売上の1/4を占め、成長牽引
- Q2で設計勝利数200件(前年同期の2倍)を記録し、長期契約が拡大
- 粗利率目標は現在の20%台半ばから30%、長期的に40%を目指す
- アナリスト評価は「Buy」(買い5、中立7、売り1)、平均目標株価44.15ドル(26.27%上昇余地)
- EPS年率38.9%成長、売上年率7.6%成長予測
- GMとの米国生産独占契約、国防総省との10年31億ドル契約など50件の長期契約を確保
懸念点:
- 好決算にも関わらず株価は年初来30%下落し、52週安値37.9ドルに接近(Q2決算後も10.34%下落)
- 最先端技術への投資遅れにより、AI・高性能コンピューティング需要に乗り遅れる可能性
- 設備投資の消極性で、2024年7億ドルは競合SMCI 80億ドル、UMC 33億ドルと比べ大幅に少額
- 大株主ムバダラ(UAE政府系ファンド)の株式売却リスクが投資家心理に不安
- TSMCやSamsungに比べ粗利率が低く(20%台 vs. TSMCの40%超)、不利な市況で負担大
- 市場飽和・サプライチェーン問題・過剰生産懸念
2. グローバルファウンドリーズの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業(成熟プロセス特化・自動車/IoT向け)
グローバルファウンドリーズは、半導体ファウンドリー(自社ブランドを持たず、他社設計の半導体を受託製造する企業)として、以下の主力事業を展開しています。
成熟・特殊プロセス(12nm~65nm):
2018年に先端プロセス(7nm以下)の開発を中止し、12nm以上の成熟プロセスに特化する戦略転換を実施しました。自動車向け半導体(電動化・ADAS)、IoT(センサー・通信モジュール)、通信インフラ(5G基地局)で強みを持ちます。
FD-SOI技術:
完全空乏型SOI技術は、低消費電力・高性能を実現する独自技術で、IoT・モバイル向けに強み。競合が追随しにくい差別化技術として、ニッチ市場を開拓しています。
シリコンフォトニクス:
光信号をシリコンチップで処理する技術で、データセンターの高速通信に応用されます。2025年売上2億ドルを見込み、AI革命における重要技術として期待されています。
GaN(窒化ガリウム)電力半導体:
次世代電力半導体材料で、高効率・高耐圧を実現します。電気自動車や再生可能エネルギーシステムで需要が拡大しています。
(2) セクター・業種の説明(半導体ファウンドリー世界2位)
グローバルファウンドリーズは、情報技術セクターの半導体・半導体製造装置業種に分類されます。
半導体ファウンドリーの特性:
- 自社ブランドを持たず、他社設計の半導体を受託製造
- 世界ファウンドリー市場はTSMCが約6割、Samsungが約2割、GFSが約6%のシェア(2025年時点)
- 先端プロセス(7nm以下)はTSMC・Samsungが寡占、成熟プロセスはGFS・UMCなどが競合
- 半導体市場の需給サイクルに業績が連動(好況期・不況期の変動が大きい)
- 巨額の設備投資が必要で、資本集約型ビジネス
(3) ビジネスモデルの特徴(先端撤退・ニッチ戦略)
グローバルファウンドリーズのビジネスモデルには、以下の特徴があります。
- 先端プロセスから撤退: 2018年に7nm以下の開発を中止し、12nm以上に特化。先端競争を避け、収益性を重視
- ニッチ戦略: 自動車・IoT・通信インフラ向けに強み。「エッセンシャルチップ」市場を開拓
- 単独ソース90%: 設計勝利の90%が競合なし受注で、顧客との長期契約が強み
- 米国内生産強化: CHIPS法で15億ドルの補助金を受け、ニューヨーク州・バーモント州工場を拡張
- 無配: 配当はゼロで、フリーキャッシュフローを設備投資に充当
- 粗利率目標40%: 現在の20%台半ばから30%、長期的に40%を目指す(TSMCは40%超)
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業(TSMC、Samsung、UMC)
半導体ファウンドリー業界における主要競合企業は以下の通りです。
- TSMC(台湾積体電路製造): 世界シェア約6割で圧倒的1位。先端プロセス(3nm、5nm、7nm)で優位。粗利率40%超。
- Samsung Foundry(韓国): 世界シェア約2割で2位。先端プロセスでTSMCに追随。メモリと統合。
- UMC(聯華電子、台湾): 世界シェア約7%で4位。GFSと同様に成熟プロセスに特化。
- SMIC(中芯国際集成電路製造、中国): 中国最大のファウンドリー。米国輸出規制の影響を受ける。
これらの企業と比較されるのは、市場シェア、粗利率、技術ノード、設備投資額などです。
(2) 競合優位性(成熟プロセス特化・単独ソース90%)
グローバルファウンドリーズの競合優位性は以下の通りです。
①成熟プロセス特化によるニッチ市場開拓
先端競争を避け、12nm以上の成熟プロセスに特化することで、自動車・IoT・通信インフラ向けに強みを発揮。TSMCやSamsungが注力しない市場で存在感を示しています。
②単独ソース90%
設計勝利の90%が競合なし受注で、顧客との長期契約が強み。GMとの米国生産独占契約、国防総省との10年31億ドル契約など50件の長期契約を確保しています。
③FD-SOI・シリコンフォトニクス・GaN技術
競合が追随しにくい差別化技術を保有し、IoT・データセンター・電力半導体で独自ポジションを確立しています。
④米国内生産強化
CHIPS法で15億ドルの補助金を受け、地政学的リスク回避需要を取り込んでいます。米国内ファウンドリー工場を保有することで、国防・重要インフラ向けに優位性があります。
(3) 市場でのポジショニング(世界2位・米国内生産)
グローバルファウンドリーズは、以下のポジショニングを確立しています。
- 世界シェア約6%で2位: TSMCに次ぐポジションだが、市場シェアはTSMCの1/10以下
- 成熟プロセス特化: 先端競争を避け、ニッチ市場を開拓
- 米国内生産強化: CHIPS法支援により、地政学的リスク回避需要を取り込む
- 自動車・IoT向け: 電動化・ADAS・5Gの需要拡大が追い風
- 無配成長株: 配当はゼロで、設備投資と成長を優先
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移(2025年Q2売上16.9億ドル・3%増)
2025年Q2決算では、売上16.9億ドル(前年同期比3%増、前四半期比6%増)、EPS 0.42ドル(予想0.36ドルを16.67%上回る)と好調な業績を記録しました。
2025年業績ハイライト:
- 売上: Q2は16.9億ドル(前年同期比3%増、前四半期比6%増)
- EPS: Q2は0.42ドル(予想0.36ドルを16.67%上回る)
- 自動車向け売上: 前年同期比36%増で全売上の1/4を占める
- 設計勝利数: Q2で200件(前年同期の2倍)
- 粗利率: 現在20%台半ば、目標30%(長期的に40%)
将来見通し:
- EPS成長率: 年率38.9%成長予測
- 売上成長率: 年率7.6%成長予測
- アナリスト平均目標株価: 44.15ドル(26.27%上昇余地)
※2025年10月時点のデータです。最新情報はGlobalFoundries公式IRページをご確認ください。
(出典: GlobalFoundries 2025年Q2決算資料)
(2) 配当履歴(無配・成長投資優先)
グローバルファウンドリーズは、配当をゼロに抑えています(2025年10月時点)。2021年10月にIPOしたばかりの比較的新しい企業で、成長投資と設備投資を優先する戦略を採用しています。
フリーキャッシュフローは160億ドルの米国内投資に充当し、CHIPS法の補助金15億ドルと合わせて、ニューヨーク州・バーモント州工場の製造・パッケージング能力を拡大しています。配当収入を期待する投資家には向いていませんが、成熟プロセス市場の成長を取り込む成長株として評価されています。
(3) 財務健全性(粗利率20%台・目標40%)
財務健全性については以下の通りです。
- 粗利率: 現在20%台半ば、目標30%(長期的に40%を目指す)
- 設備投資: 2024年は7億ドル(競合SMCI 80億ドル、UMC 33億ドルと比べ大幅に少額)
- 長期契約: GMとの米国生産独占契約、国防総省との10年31億ドル契約など50件を確保
- CHIPS法補助金: 15億ドルを受け、米国内生産を強化
- 株価: 2024年に30%下落、IPO価格より17%低い水準
TSMCの粗利率が40%超であるのに対し、GFSは20%台半ばと低く、収益性改善が課題となっています。設備投資の消極性も懸念材料で、競合に比べ能力増強が遅れる可能性があります。
5. リスク要因
(1) 事業リスク(先端技術遅れ・設備投資消極性・好決算でも株価下落)
グローバルファウンドリーズには、以下の事業リスクがあります。
①最先端技術への投資遅れ
2018年に7nm以下の開発を中止したため、AI・高性能コンピューティング需要に乗り遅れる可能性があります。先端プロセスを追求しない戦略により、成長機会を逃すリスクがあります。
②設備投資の消極性
2024年の設備投資は7億ドルで、競合SMCI 80億ドル、UMC 33億ドルと比べ大幅に少額です。能力増強が遅れ、需要急増時に対応できないリスクがあります。
③好決算にも関わらず株価下落
Q2 2025はEPS予想を16.67%上回る好決算でしたが、株価は10.34%下落し、52週安値37.9ドルに接近しています。市場飽和・サプライチェーン問題・過剰生産懸念が背景にあります。
(2) 市場環境リスク(半導体市場飽和・供給過剰・大株主売却)
市場環境リスクとしては、以下が挙げられます。
①半導体市場の供給過剰
産業用・自動車向けの需給バランスが悪化し、価格下落や稼働率低下のリスクがあります。半導体市場の需給サイクルに業績が連動するため、不況期には大幅減益となる可能性があります。
②大株主ムバダラの株式売却リスク
大株主のムバダラ(UAE政府系ファンド、所有比率約89%)が株式を売却するリスクがあります。大量売却により株価が急落する可能性があり、投資家心理に不安を与えています。
③株価の大幅下落
株価は2024年に30%下落し、IPO価格より17%低い水準です。年初来も38%下落し、52週安値に接近しています。
(3) 規制・競争リスク(粗利率低迷・TSMC/Samsung圧倒的優位)
規制・競争リスクとしては、以下があります。
①粗利率低迷
TSMCの粗利率が40%超であるのに対し、GFSは20%台半ばと低く、収益性が劣ります。不利な市況では、TSMCよりも大きな打撃を受けるリスクがあります。
②TSMC・Samsungの圧倒的優位
先端プロセス市場はTSMC・Samsungが寡占しており、AI・高性能コンピューティング需要の大半を獲得しています。GFSは成熟プロセスに特化することで差別化していますが、成長機会は限定的です。
③半導体市場の供給過剰
産業用・自動車向けの需給バランスが悪化し、価格競争が激化する可能性があります。
④為替リスク
米ドル建て資産への投資となるため、円高になると円建てでのリターンが減少します。為替ヘッジや外貨決済の活用が推奨されます。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み(成熟プロセス特化・CHIPS法支援・160億ドル投資)
グローバルファウンドリーズの主な強みは以下の3点です。
①成熟プロセス特化によるニッチ市場開拓
先端競争を避け、12nm以上の成熟プロセスに特化することで、自動車・IoT・通信インフラ向けに強みを発揮。設計勝利の90%が単独ソース(競合なし受注)で、顧客との長期契約が強みです。
②CHIPS法による米国内生産強化
CHIPS法で15億ドルの補助金を受け、160億ドルの米国内投資によりニューヨーク州・バーモント州工場を拡張。地政学的リスク回避需要を取り込んでいます。
③自動車・IoT向け成長
自動車向け売上は前年同期比36%増で全売上の1/4を占めます。電動化・ADAS・5Gの需要拡大が長期的な成長を支えています。
(2) リスク要因(株価下落30%・大株主売却・設備投資少額)
主なリスク要因は以下の2点です。
①株価の大幅下落と大株主売却リスク
株価は2024年に30%下落し、IPO価格より17%低い水準です。大株主ムバダラの株式売却リスクが投資家心理に不安を与えています。
②設備投資の消極性と先端技術遅れ
2024年の設備投資は7億ドルで競合の1/10程度と少額です。先端プロセスを追求しない戦略により、AI・高性能コンピューティング需要に乗り遅れる可能性があります。
(3) 向いている投資家(ニッチ戦略理解・地政学リスク回避・長期投資家)
グローバルファウンドリーズは、以下のような投資家に向いています。
①ニッチ戦略を理解できる投資家
先端競争を避け、成熟プロセスに特化する戦略を理解し、自動車・IoT向け成長を評価できる投資家向けです。
②地政学的リスク回避を重視する投資家
米国内生産強化により、CHIPS法支援とサプライチェーン再編の恩恵を受けられます。米中対立が長期化する中、地政学的リスク回避を重視する投資家に適しています。
③長期投資家で株価ボラティリティを許容できる投資家
株価ボラティリティが高く、好決算でも株価が下落するリスクがあります。長期的には自動車・IoT向け成長が見込まれますが、短期的な株価変動を許容できる投資家向けです。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや市場環境は、公式IR資料や信頼できる情報源でご確認ください。
Q: グローバルファウンドリーズの配当利回りは?
A: 配当はゼロです(2025年10月時点)。グローバルファウンドリーズは2021年10月にIPOしたばかりの比較的新しい企業で、成長投資と設備投資を優先する戦略を採用しています。フリーキャッシュフローは160億ドルの米国内投資に充当し、CHIPS法の補助金15億ドルと合わせて、ニューヨーク州・バーモント州工場の製造・パッケージング能力を拡大しています。配当収入を期待する投資家には向いていませんが、成熟プロセス市場の成長を取り込む成長株として評価されています。
Q: グローバルファウンドリーズの主な競合は?
A: TSMC(台湾積体電路製造、世界シェア約6割で圧倒的1位、先端プロセスで優位、粗利率40%超)、Samsung Foundry(韓国、世界シェア約2割で2位、先端プロセスでTSMCに追随)、UMC(聯華電子、台湾、世界シェア約7%で4位、GFSと同様に成熟プロセスに特化)などのファウンドリー企業が競合です。ただし、GFSは2018年に先端プロセス(7nm以下)から撤退し、成熟プロセス(12nm以上)に特化することで差別化を図っています。設計勝利の90%が単独ソース(競合なし受注)で、自動車・IoT・通信インフラ向けに強みを持ちます。
Q: グローバルファウンドリーズのリスク要因は?
A: 主なリスク要因は以下の通りです。①最先端技術への投資遅れで、2018年に7nm以下の開発を中止したため、AI・高性能コンピューティング需要に乗り遅れる可能性。②設備投資の消極性で、2024年7億ドルは競合SMCI 80億ドル、UMC 33億ドルと比べ大幅に少額。③好決算にも関わらず株価は年初来30%下落し、52週安値に接近(Q2決算後も10.34%下落)。④大株主ムバダラ(UAE政府系ファンド、所有比率約89%)の株式売却リスクで、大量売却により株価が急落する可能性。⑤粗利率低迷で、TSMCの40%超に対しGFSは20%台半ばと低く、不利な市況では打撃大。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。
Q: グローバルファウンドリーズは長期投資に向いている?
A: 自動車・IoT向け成熟半導体の長期需要と、米国内生産強化(CHIPS法支援160億ドル投資)による地政学的リスク回避が魅力です。自動車向け売上は前年同期比36%増で全売上の1/4を占め、電動化・ADAS・5Gの需要拡大が追い風となっています。設計勝利の90%が単独ソース(競合なし受注)で、GMとの米国生産独占契約、国防総省との10年31億ドル契約など50件の長期契約を確保しています。ただし、株価ボラティリティが高く(年初来30%下落)、先端技術を追求しない戦略を理解できる投資家向けです。先端プロセスを避けることで、AI・高性能コンピューティング需要に乗り遅れるリスクがありますが、ニッチ市場での安定成長を期待できます。投資判断はご自身の責任で行ってください。
