米国株投資とは - 世界最大の株式市場
米国株投資に興味はあるけれど、「何から始めれば良いのか分からない」「日本株とどう違うのか」と悩んでいませんか。
米国株式市場は世界最大の規模を誇り、Apple、Microsoft、Amazonなど世界を代表する企業に投資できます。しかし、取引時間や税金、為替リスクなど、日本株とは異なる注意点もあります。
この記事では、米国株投資の基礎知識を初心者向けに網羅的に解説します。市場の仕組み、メリット・デメリット、始め方、2024-2025年の最新動向までを一通り理解できます。
この記事のポイント:
- 米国株式市場は世界最大で、NYSE・NASDAQが主要取引所
- S&P500、ナスダック総合、ダウ平均の3指数で市場全体を把握
- メリットは世界トップ企業への投資、デメリットは為替リスクと情報収集の難しさ
- 日本のネット証券(マネックス、SBI、楽天等)で1株単位から購入可能
- 2024年はAIブームで好調、2025年もFRB利下げ継続で成長見込み
1. 米国株投資とは - 世界最大の株式市場
米国株式市場は世界で最も規模が大きく、流動性の高い市場です。時価総額は約50兆ドル(約7,500兆円)に達し、日本市場の約10倍以上に相当します。
米国市場では、世界を牽引するテクノロジー企業(Apple、Microsoft、Google)、消費財(Coca-Cola、Procter & Gamble)、金融(JPMorgan Chase、Visa)など、多様な業種のトップ企業に投資できます。
(1) 米国株式市場の規模と流動性
米国株式市場は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック(NASDAQ)の2大取引所で構成されています。NYSEは歴史ある伝統的企業、NASDAQはテクノロジー・成長企業が中心です。
取引高も圧倒的で、1日の売買代金は数兆円規模です。この流動性の高さにより、投資家は希望する価格で売買しやすく、大口注文でも市場への影響が比較的小さいという利点があります。
(出典: FI Money "American Stock Market - Overview, Indices & Trends (2025)")
(2) 主要3指数(S&P500・ナスダック総合・ダウ平均)の違い
米国株式市場の動向を把握するには、以下の3つの主要指数をチェックします。
S&P500(スタンダード・アンド・プアーズ500)
米国の時価総額上位500社で構成される株価指数です。市場全体の動向を示す代表的指標で、多くの投資信託やETFがこの指数に連動しています。2025年11月現在、6,734ポイント前後で推移しています。
ナスダック総合指数(NASDAQ Composite)
ナスダック取引所に上場する約3,000銘柄を含む指数です。テクノロジー株が中心で、Apple、Microsoft、Amazon、Teslaなどが含まれます。2025年11月現在、22,900ポイント前後です。
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average)
米国を代表する主要30社の株価加重平均です。最も古い株価指数の一つで、Boeing、Goldman Sachs、Disneyなどが構成銘柄です。2025年11月現在、47,147ポイント前後で推移しています。
(出典: Yahoo!ファイナンス、Trading Economics)
2. 米国株式市場の基本構造
米国株式市場は、日本市場とは異なる取引時間や規制当局があります。投資を始める前に、これらの基本構造を理解しておきましょう。
(1) NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQの違い
NYSE(New York Stock Exchange)
1792年創設の世界最大の取引所です。IBM、General Electric、Coca-Colaなど、歴史ある大企業が多く上場しています。取引方式は専門家(スペシャリスト)を介したマーケットメイク方式です。
NASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)
1971年に世界初の電子取引所として誕生しました。Apple、Microsoft、Amazon、Teslaなど、テクノロジー・成長企業が中心です。完全電子取引で高速処理が特徴です。
(出典: FI Money "American Stock Market - Overview, Indices & Trends (2025)")
(2) 取引時間(日本時間での注意点)
米国市場の通常取引時間は、現地時間で午前9時30分~午後4時(東部標準時)です。日本時間では以下のようになります。
- 冬時間(11月~3月): 日本時間 午後11時30分~翌朝6時
- 夏時間(3月~11月): 日本時間 午後10時30分~翌朝5時
つまり、米国市場は日本の夜間に動きます。日中仕事をしている投資家は、リアルタイムで値動きを追いにくい点に注意が必要です。主要ネット証券では時間外取引(プレマーケット・アフターマーケット)にも対応しています。
(3) SEC(証券取引委員会)による規制
米国市場はSEC(Securities and Exchange Commission、証券取引委員会)が規制・監督しています。SECは企業の開示義務や不正取引の監視を行い、投資家保護を徹底しています。
上場企業は四半期ごとに決算報告(10-Q)、年次報告書(10-K)の提出が義務付けられており、情報の透明性が高いことが米国市場の特徴です。
(出典: FI Money "The US Stock Market Index: An Overview")
3. 米国株投資のメリットとデメリット
米国株投資には魅力的なメリットがある一方で、特有のリスクや注意点も存在します。両面を理解した上で投資判断をしましょう。
(1) メリット:世界トップ企業への投資、配当成長、1株単位購入
世界トップ企業に投資できる
Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)など、世界のイノベーションを牽引する企業に投資できます。これらの企業は日本市場には上場していないため、米国株投資でしかアクセスできません。
配当成長が期待できる
米国企業は株主還元を重視する文化が強く、連続増配企業が多数あります。例えば、Johnson & Johnsonは60年以上連続で増配を続けています。
1株単位で購入可能
日本株は100株単位が一般的ですが、米国株は1株から購入できます。例えば、Apple 1株は約270ドル(約4万円)から投資可能です。少額から分散投資しやすいのが特徴です。
(出典: マネックス証券)
(2) デメリット:為替リスク、情報収集の難しさ、時差
為替リスク
米国株はドル建てで取引されるため、為替レートの変動が投資成績に影響します。ドル建てで利益が出ても、円高が進めば円換算での利益が減少する可能性があります。
例えば、株価が10%上昇しても、ドル円レートが10%円高(例:1ドル150円→135円)になれば、円換算では利益がゼロになります。
情報収集の難しさ
企業の決算発表やIR資料は英語で公開されます。日本語の情報は限られており、リアルタイムで正確な情報を得るには英語力が必要です。
時差の問題
米国市場は日本の夜間に動くため、リアルタイムでの対応が難しい場合があります。急激な相場変動時に即座に売買できないリスクがあります。
(出典: Researcherステップの分析)
4. 日本で米国株を買う方法
日本に住んでいても、主要ネット証券を通じて米国株に投資できます。口座開設から実際の取引までの流れを解説します。
(1) 主要ネット証券(マネックス、SBI、楽天、moomoo等)
日本で米国株を取引できる主要証券会社は以下の通りです。
マネックス証券
米国株取引手数料0ドルから提供しており、コストを抑えたい投資家に人気です。時間外取引やトレーリングストップにも対応しています。
SBI証券
取扱銘柄数が5,000銘柄以上と豊富です。為替手数料の無料化キャンペーンなども定期的に実施しています。
楽天証券
外貨決済を選択すれば為替手数料0銭で取引できます。楽天ポイントが貯まり、楽天経済圏のユーザーに便利です。
(出典: マネックス証券、SBI証券、楽天証券公式サイト)
(2) 外国株取引口座の開設
米国株を取引するには、通常の証券口座に加えて「外国株取引口座」の開設が必要です。
- 証券会社で口座開設(本人確認書類・マイナンバー提出)
- 外国株取引口座を申請(オンラインで数分で完了)
- 入金・ドル転(円をドルに両替)
- 米国株を注文
外国株取引口座の開設は無料で、審査も通常1~3営業日で完了します。
(3) 手数料体系(取引手数料・為替手数料)
米国株投資には以下の手数料がかかります。
取引手数料
約定代金の0.45~0.495%程度(最低0ドル、上限20~22ドル)が一般的です。マネックス証券は0ドルから提供しています。
為替手数料
円をドルに換える際に、片道25銭程度が一般的です。楽天証券では外貨決済を選択すれば為替手数料0銭になります。
管理費・口座維持費
主要ネット証券では無料です。
(出典: マネックス証券、SBI証券、楽天証券)
(4) NISA口座での米国株投資
2024年から新NISA制度が開始され、米国株もNISA口座で購入できます。
新NISA のメリット
- 年間投資枠: 成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円
- 非課税保有期間: 無期限
- 売却益・配当金が非課税(日本での課税が免除)
注意点
米国での源泉徴収10%は免除されません。外国税額控除もNISA口座では適用されないため、配当には米国で10%課税されます。
(出典: 金融庁 新NISA制度情報)
5. 2024-2025年の市場動向と最新トピック
米国株式市場は2024年に大きく上昇しました。2025年の見通しと最新の注目トピックを紹介します。
(1) 2024年のパフォーマンス(ナスダック+33.4%、S&P500+26.6%)
2024年の米国株式市場は以下のように好調でした。
- ナスダック総合: +33.4%
- S&P500: +26.6%
- ダウ平均: +14.9%
AIブーム(エヌビディア等のAI関連銘柄が大きく上昇)、FRBの利下げ開始、大統領選の結果が市場を押し上げました。
(出典: Money World「2024年の米国株を振り返る!ナスダック総合は年初から31%上昇」)
(2) 2025年の見通し(実質GDP+2.3%予想、FRB利下げ継続)
2025年の米国経済は以下の見通しです。
- 実質GDP成長率: +2.3%予想
- FRB政策金利: 3%台半ばへの利下げ継続見込み
- トランプ政権の規制緩和: M&A活発化が期待される
ただし、2025年11月現在、FRBの12月利下げ確率が約46%に低下(1週間前は約70%)しており、金融政策の不確実性が市場のボラティリティを高めています。
(出典: 三井住友DSアセットマネジメント「2025年の米国株見通し」)
(3) セクター別見通し(情報技術+21.1%、通信サービス+14.6%)
2025年のS&P500企業のEPS(1株利益)伸び率は前年比+14.3%が予想されています。セクター別では以下が好調見込みです。
- 情報技術: +21.1%
- 通信サービス: +14.6%
AIやクラウド、5G関連企業の成長が期待されています。
(出典: フランクリン・テンプルトン「2025年の米国株の見通しと注目トピック」)
(4) 注目ニュース(AIブーム、M&A活発化、バークシャーの動向)
AIブーム継続
エヌビディア、Microsoft、Googleなどが生成AI分野に巨額投資を継続しています。
バークシャー・ハサウェイ(バフェット)の動向
2025年11月、バークシャー・ハサウェイがAlphabet(Google親会社)の株式を取得したと公表し、Alphabet株価が5%以上急騰しました。
S&P500企業の決算好調
決算シーズンで1株利益が平均13.1%増(予想8.0%から上方修正)となり、企業業績の堅調さが確認されました。
(出典: CNBC「Stocks waver to start the week; Alphabet rises on Berkshire stake」)
6. まとめ:米国株投資を始める前に
米国株投資は、世界トップ企業に投資できる魅力的な選択肢です。一方で、為替リスクや情報収集の難しさ、時差などの注意点もあります。
この記事で押さえたポイント:
- 米国株式市場は世界最大で、NYSE・NASDAQが主要取引所
- S&P500、ナスダック総合、ダウ平均で市場全体を把握
- 日本のネット証券(マネックス、SBI、楽天等)で1株から投資可能
- NISA口座なら日本での税金が非課税
- 2025年もFRB利下げ継続で成長が期待されるが、為替・政策リスクに注意
次のアクション:
- まずは各証券会社の公式サイトで手数料や取扱銘柄を比較する
- 少額(数万円)から始めて操作性を確認する
- NISA口座の開設を検討する
- Yahoo!ファイナンスなどで毎日主要3指数をチェックする習慣をつける
米国株投資は長期的な資産形成に有効ですが、投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
